低エネルギーでの電磁場との相互作用

peskinの6.2のように,電磁場との相互作用を外場で導入する.
この時,核子と電磁場との相互作用のvertexは,{\bar u(p')} \Gamma^\mu u(p)と書かれる.
ここで,対称性から\Gamma^\mu = A \gamma^\mu + B (p+p')^\mu + C (p-p')^\mu + D \gamma^\mu \gamma^5+ E (p+p')^\mu \gamma^5 + F (p-p')^\mu \gamma^5と書くことが出来る.
(ここで,P,CP(=T)対称性を要求しないという点でテキストの拡張になっている)

Ward identityより,(p-p')_\mu \Gamma^\mu = 0であるから,これを満たすために,
\Gamma^\mu = A \gamma^\mu + B (p+p')^\mu + E (p+p')^\mu \gamma^5

ガンマ行列の性質を用いて変換していくと,
\Gamma^\mu = F_1(q^2) \gamma^\mu + F_2(q^2) \frac{i\sigma^{\mu\nu}q_\nu}{2m} + F_3(q^2) \frac{i\sigma^{\mu\nu}q_\nu}{2m} \gamma^5ととりなおせる.ただし,q_\mu = (p'-p)_\mu\sigma^{\mu\nu} = \frac{i}{2}(\gamma^\mu \gamma^\nu - \gamma^\nu \gamma^\mu)

このとき,散乱振幅は,ベクトルポテンシャルフーリエ変換{\tilde A}^\muを用いて,
 i{\cal M} = i{\bar u(p')} \left( F_1(q^2) \gamma^\mu + F_2(q^2) \frac{i\sigma^{\mu\nu}q_\nu}{2m} + F_3(q^2) \frac{i\sigma^{\mu\nu}q_\nu}{2m} \gamma^5 \right)  u(p) {\tilde A}^\mu
テキストと違うのは,電荷を持つことを前提にしていない点.だから,$F_1,F_2$の定義は若干異なる.

低エネルギー近似を行うと,
 u(p) = \sqrt{m} \left( \begin{array}{c} (1-p \cdot \sigma /2m)\xi \\ (1+p \cdot \sigma /2m)\xi \\ \end{array} \right)


静電場との相互作用を考える.ベクトルポテンシャルの中で,{\tilde A}^0のみがノンゼロだとしてよい.
 {\cal M} = {\bar u(p')} \left( F_1(q^2) \gamma^0 + F_2(q^2) \frac{i\sigma^{0i}q_i}{2m} + F_3(q^2) \frac{i\sigma^{0i}q_i}{2m} \gamma^5 \right)  u(p) {\tilde A}^0
 {\cal M} = {\bar u(p')} \left( F_1(q^2) \gamma^0 + F_3(q^2) \frac{i\sigma^{0i}q_i}{2m} \gamma^5 \right)  u(p) {\tilde A}^0
 {\cal M} = 2F_1(q^2) {\tilde A}^0 + \frac{iq^i}{m} \xi^\dagger \sigma^i \xi {\tilde A}^0

1項目は静電ポテンシャルをあらわす.2項目は電気双極子と静電場の相互作用を表してる.
導出をみれば分かるように,CPが破れたりすると電気双極子が生まれうる.
と,いうことで,強いCP問題→中性子に電気双極子?ということになっとるのだろうな.

磁場との相互作用はテキストのとおり.





追記:

粒子が電気双極子モーメントをもつ事がパリティを破ることの簡単な説明.

双極子モーメントはスピンに比例すると仮定する.(粒子からベクトル的な情報を引き出すにはスピンしかないような気がする.)
仮定より,双極子モーメントは擬ベクトル.電場はベクトルであるから,電気双極子モーメントを持つとパリティを破ることが分かる.
磁場は擬ベクトルであるから,磁気双極子モーメントを持ってもパリティは破らないことも分かる.