linux(Ubuntu10.04)にISAJETをインストールする。

結構手こずったが、ISAJETがインストールできたのでここにメモを残す。


まず、準備。
「システム」→「システム管理」→「synapticパッケージマネージャ」でsynapticパッケージマネージャを起動。
cshとcernlibとpdflib804をインストールする。

http://www.nhn.ou.edu/~isajet/から、Makefile, isajet.car, isared.tar.gzをダウンロードする。

$ gunzip isared.tar.gz

でisared.tar.gzを解凍する。

Makefileの一部を書き換える。

CERNDIR = /usr/
PDFLIB = /usr/lib/

あとは、makeするだけ。

$ make isatools
$ make

最終講義

佐藤勝彦さんの最終講義があった.1時間遅れくらいで小柴ホールに到着したのだが,有名人ということもあるのだろう,講堂から人があふれ出していた.遅刻した自分は,当然ながら中に入ることはできなかった.
やっぱり,何かを極めた人はカッケーなー…,とぼんやり思いながらモニターを眺めていた.

最近の記録

3日から6日まで,つくばのKEK(高エネルギー加速器研究機構)で行われた研究会に行ってきた.
正直言うと,「旅費が支給され,宿舎にも泊まれる」という事実に釣られた形である.やはり,国の機関だから太っ腹なのだろうか.うちの研究室なんかピーピー言ってるのに.


つくばという町はかなり特徴的な,というか特殊な町であった.
TXのおかげもあるのだろうか,つくば駅前はかなり発展している様子だ.franc francなんかもあったし.駅前は東京の郊外,例えば八王子や町田あたりのイメージと重なる.
ただし,中心部を離れると景色はすぐ北関東のそれに変わる.幅広くどこまでも真っ直ぐの道路のせいで,平気で80km/sとか90km/sまで飛ばす車ばかりだ.
つくば駅から10kmほど北上するとKEKはある.というか,KEKしかない.聞くところによると最寄のコンビニが数km先という話.
まあ,加速器作るには土地がいるからなあ.そういうことなのだろう.


4日間のセッションの内,半分くらいを聞いただろうか.まず,痛感したのは自分の英語力の無さ.
日本人で発音がカタカナ英語の人については割と聞きとれるのだが,そうでない人は結構厳しかった.この辺は意識してトレーニングしないと力はつかないのだろうな….
あと,物理の内容についても知らなかった事柄ばかりで,とりあえず単語を覚えるのに精一杯であった.
自分の大学で流行っていることと,他の大学で流行っていることに結構開きがあるのが興味深かった.Super SymmetryだけがBeyond Standard Modelじゃないということなのだろう.覚えた単語をメモしておく.

Little Higgs
Gauge-Higgs Unification
Zee-Babu model

ニュートリノ振動について

ニュートリノ振動について調べている.

ニュートリノには3種類ある.電子ニュートリノ,ミューニュートリノ,タウニュートリノの3つだ.
この3つはそれぞれ他の物質との相互作用の仕方が異なる.
しかし,どういうわけか長い距離を飛ぶと電子ニュートリノがミューニュートリノに化けてしまったりする.これがニュートリノ振動だ.
言うなれば,鉛筆を投げたら消しゴムになって戻ってきたよ,というような現象である.(あまり適切な例えじゃないかも…)



この現象は,弱い相互作用における固有状態と質量固有状態に食い違いがあることにより発生する.
簡単のために,2世代の混合を考えよう.
 \left( \begin{array}{c} \nu_e \\ \nu_\mu \\ \end{array} \right) = \left( \begin{array}{cc} \cos\theta && \sin\theta \\ -\sin\theta && \cos\theta \\ \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} \nu_1 \\ \nu_2 \\ \end{array} \right)

例えば,電子ニュートリノが発生したとすると,その波動関数は,\cos\theta e^{-iEt+ip_1z}|\nu_1 \rangle + \sin\theta e^{-iEt+ip_2z} |\nu_2\rangle
これを変形すると,
e^{-iEt+ip_1z} (\cos\theta |\nu_1 \rangle + \sin\theta e^{i(p_2-p_1)z} |\nu_2\rangle)
e^{-iEt+ip_1z} (\cos\theta |\nu_1 \rangle + \sin\theta \exp(-i\frac{(m_2^2-m_1^2)z}{2E}) |\nu_2\rangle)

よって,距離がz離れたところで電子ニュートリノが観測される確率は,
|\cos^2\theta + \sin^2\theta \exp(-i\frac{(m_2^2-m_1^2)z}{2E})|^2 = 1-\sin^2 2\theta sin^2(\frac{(m_2^2-m_1^2)z}{4E})

ざっくりした議論はこんな感じだが,何故エネルギーをそろえて運動量をずらしたものが干渉しているのか,とか微妙な点がいろいろある.
これをきちんと理解するには,場の量子論というよりか,量子力学を理解することが重要であるみたいだ.
何が干渉するのか,どのような観測を行うのか,粒子とは,波束とは何か.



太陽で発生した電子ニュートリノは約8分かけて地球に到達する.
今は夜だから,ニュートリノは地球を貫通して地面から吹き上がり,我々の体の中を何事もなかったかのように通り過ぎ,そして虚空に吸い込まれていくはずだ.
そのうちの何割かは電子ニュートリノからミューニュートリノに変わっている.
そんな様子を想像するとちょっと面白い.

数学的に美しい物理理論が正しいに違いない,というのは信仰に近いのだろう.贔屓目に言っても経験則か.
超対称性や弦理論が正しいと示されたら楽しいだろうな,とは思うけれども.もう信者かもしれない.