ニュートリノ振動について

ニュートリノ振動について調べている.

ニュートリノには3種類ある.電子ニュートリノ,ミューニュートリノ,タウニュートリノの3つだ.
この3つはそれぞれ他の物質との相互作用の仕方が異なる.
しかし,どういうわけか長い距離を飛ぶと電子ニュートリノがミューニュートリノに化けてしまったりする.これがニュートリノ振動だ.
言うなれば,鉛筆を投げたら消しゴムになって戻ってきたよ,というような現象である.(あまり適切な例えじゃないかも…)



この現象は,弱い相互作用における固有状態と質量固有状態に食い違いがあることにより発生する.
簡単のために,2世代の混合を考えよう.
 \left( \begin{array}{c} \nu_e \\ \nu_\mu \\ \end{array} \right) = \left( \begin{array}{cc} \cos\theta && \sin\theta \\ -\sin\theta && \cos\theta \\ \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} \nu_1 \\ \nu_2 \\ \end{array} \right)

例えば,電子ニュートリノが発生したとすると,その波動関数は,\cos\theta e^{-iEt+ip_1z}|\nu_1 \rangle + \sin\theta e^{-iEt+ip_2z} |\nu_2\rangle
これを変形すると,
e^{-iEt+ip_1z} (\cos\theta |\nu_1 \rangle + \sin\theta e^{i(p_2-p_1)z} |\nu_2\rangle)
e^{-iEt+ip_1z} (\cos\theta |\nu_1 \rangle + \sin\theta \exp(-i\frac{(m_2^2-m_1^2)z}{2E}) |\nu_2\rangle)

よって,距離がz離れたところで電子ニュートリノが観測される確率は,
|\cos^2\theta + \sin^2\theta \exp(-i\frac{(m_2^2-m_1^2)z}{2E})|^2 = 1-\sin^2 2\theta sin^2(\frac{(m_2^2-m_1^2)z}{4E})

ざっくりした議論はこんな感じだが,何故エネルギーをそろえて運動量をずらしたものが干渉しているのか,とか微妙な点がいろいろある.
これをきちんと理解するには,場の量子論というよりか,量子力学を理解することが重要であるみたいだ.
何が干渉するのか,どのような観測を行うのか,粒子とは,波束とは何か.



太陽で発生した電子ニュートリノは約8分かけて地球に到達する.
今は夜だから,ニュートリノは地球を貫通して地面から吹き上がり,我々の体の中を何事もなかったかのように通り過ぎ,そして虚空に吸い込まれていくはずだ.
そのうちの何割かは電子ニュートリノからミューニュートリノに変わっている.
そんな様子を想像するとちょっと面白い.