7.6,7,Appendix

拘束のある力学系というのは,本質的な自由度より変数が水増しされているので拘束条件が生じている.
これが困難を招くのが正準量子化したいとき.ポアソン括弧が正しい時間発展etc.を導かないので,これを交換関係に置き換えると正しい量子化ができない.
ならば,きちんと正準変数を同定して記述を変えればよいのだが,それは非常に手間がかかり,他の対象性があらわに見えなくなるなど不利益を生む場合がある.
この時に便利なのが,ディラック括弧.これは水増しされた変数と拘束条件とポアソン括弧を使って書くことができ,正しい正準変数のポアソン括弧と等しくなっている.
よって,ディラック括弧を交換関係で置き換えれば,拘束のある力学系も正しく量子化することができるのだ.