宇宙物理学のレポートをやりながら

レポートやりながら思い出したこと.


宇宙は高温の状態からスタートし,徐々に冷えてきた.
最初は全ての粒子が高速で飛び交っていたのだが,冷えるに従い様々な過程を経て現在の姿に近づいていく.
その過程のひとつに,電子と陽子が飛び交っていたのが,結合して水素原子になるという過程がある.
水素原子のイオン化エネルギーは13.6eVである.1eV=11600Kという換算公式を知っている物理学科の学生なら,この頃の宇宙の温度は10数万Kと推定したくなるのだが,実際は3000K程度だ.

質量m,温度Tの非相対論的気体の化学ポテンシャルは\mu = kT\log(n \frac{h^3}{(2\pi mkT)^{3/2}})という式で与えられる.これはグランドカノニカル分布を用いて計算する.
p^+ + e^- \leftrightarrow H + E_I (E_I=13.6eV)という反応が平衡状態にあるための条件は,
\mu_p + \mu_e = \mu_H - E_Iであるから,
n_p n_e \frac{h^3}{ (2\pi m_ekT)^{3/2} } = n_H e^{-E_I/kT}

n=n_p+n_Hとおく.電離率をx=n_p/nで定義すると,
\frac{x^2}{1-x} = \frac{1}{n}\frac{ (2\pi m_ekT)^{3/2} }{h^3} e^{-E_I/kT}

これはいわゆる,sahaの電離平衡の式.指数関数の前の因子が効いて来るので,単純な次元解析ではじき出される答えとは異なってくる.